第43話

師弟の旅

 

考えてみますと、毎日がお客様と接する仕事ですし、組合の事務的なことも多く、手と頭は休むことのない毎日でした。
電話のベルや人の声から離れて、静かなところへ行きたいと、いまは第一線で活躍している弟子たちと、ひなびた山の湯の宿へ、何度か行きました。みなそれぞれが珠玉のようにわたしの心にのこっているのです。
心に残る旅、
法師温泉=「山祈る太古の民の寂心 今日新たにす法師の湯にて」川端康成先生の歌
宝川温泉= 熊も入湯する山奥の宿です。
新潟ー鷹の巣温泉
琵琶湖ー京都ー嵯峨野めぐり
奈良ー吉野めぐり
田沢湖ー黒湯ー鶴の湯
十和田湖ー蔦温泉
会津ー芦ノ牧ー銀山温泉ー最上川下り


弟子たちに守られて楽しい旅を毎年続けていました。楽しい思いでのみがわたしを豊かにさせているのです。
東北一を誇る桜らんまんの季節に、車で迎えにきてくれる弘前の弟子。
岩手の賢治や啄木の里を訪ねて、素朴な大沢温泉で憩うなど、こころの触れ合う師弟関係を持った幸せをかみしめています。
このたび、白寿の集いに弟子たち、皆さんが集まってくれることは、本当に嬉しいことです。

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